用語解説:第1回「機動戦士ガンダム」編

 用語解説の第1回目として、「機動戦士ガンダム」を中心に宇宙世紀作品の基本的な用語を選んで、解説してみました。
 わかりやすさを優先させるために突っ込んだ解説はせず、アバウトな解説にとどめているものもあります。

 用語は解説の都合上、50音順には並んでいませんので、ご了承ください。



 宇宙世紀 【うちゅうせいき】
 人類が宇宙への移民を開始した年を元年としています。
 かつては、「西暦2045年=宇宙世紀元年」という説もありましたが、最近では宇宙世紀元年が西暦の何年にあたるのかは「不明」ということになっています。
 「Universal Century(ユニバーサル・センチュリー)」とも言い、「U.C.」と略します。この解説では今後、U.C.と表記します。


 スペースコロニー 【すぺーすころにー】
 宇宙に浮かぶ人工の宇宙都市で、円筒形をしており、その内部に人が住んでいます。
 地球と月からの引力が均衡する場所(=ラグランジュポイント)に数十基が一まとまりとなり浮かんでいます。
 このまとまりを「サイド」と呼び、このサイドは全部で7つあります。
 また、1つ1つのコロニーは「バンチ」と呼ばれ、ある1つのコロニーを指す際は、「サイド○の○バンチ」という風に言います。


 スペースノイド 【すぺーすのいど】
 スペースコロニーなど、宇宙に住む人々の総称です。
 地球に住む人々(=アースノイド)からは「宇宙人」と呼ばれ、バカにされることがあります。


 アースノイド 【あーすのいど】
 地球に住む人々の総称です。
 宇宙移民が低い階層の人々から始められたせいもあり、エリート意識を持つ人々が多いです。


 ルナリアン 【るなりあん】
 月に住む人々の総称です。


 地球連邦政府 【ちきゅうれんぽうせいふ】
 地球と月、サイドの全てを統治する組織です。宇宙世紀では地球上に国家(日本、アメリカなど)は存在せず、地球連邦政府という1つの組織によってまとめられています。
 なお、地球を優遇し、各サイドを軽視する傾向にあるため、スペースノイドたちからは快く思われていません。
 連邦政府の軍隊は地球連邦軍と呼ばれ、本部は南米のジャブローにあります(U.C.0079時点)。


 ジオン公国 【じおんこうこく】
 地球から最も遠いサイドである、サイド3におこった国家です。
 もともとはジオン共和国を名乗っていましたが、ザビ家による独裁体制が敷かれてからは、ジオン公国と名乗るようになりました。


 ジオン・ズム・ダイクン 【じおん・ずむ・だいくん】
 政治活動家で、ジオン共和国の初代大統領です。
 彼は地球連邦の政策に不満を持ち、スペースノイドの自治権を主張しました。
 後に彼は暗殺され、彼の名を継ぐジオン公国は、彼の思想とは180度違うザビ家一党による独裁体制をとるようになってしまいました。
 2人の子供(兄:キャスバル・レム・ダイクン、妹:アルテイシア・ソム・ダイクン)がいます。


 ザビ家 【ざびけ】
 ジオン公国の実権を握る一家です。
 デギン・ソド・ザビは、元々はジオン・ズム・ダイクンの同志として行動していましたが、ジオンのやり方に不満を覚え彼を暗殺、ジオン派の人間を一掃し、ジオン共和国の実権を握ります。そして、自分は公王となり、ジオン公国の頂点に君臨するのです。

 デギンには5人の子供がいます。以下は、U.C.0079年当時の説明です。

 長男:ギレン・ザビ
 ジオン公国の総帥です。事実上隠居した父デギンに代わり、全権を掌握しています。
 圧倒的なカリスマと、IQ240の頭脳、冷酷な判断力でジオン公国を引っ張っています。

 次男:サスロ・ザビ
 作中には登場しない設定上の人物です。
 ジオン派の人間に暗殺されたことになっています。

 長女:キシリア・ザビ
 少将にして、突撃機動軍司令官です。
 策略に長け、兄ギレンを政敵とみなしています。

 三男:ドズル・ザビ
 中将にして、宇宙攻撃軍司令官です。
 豪快な人物で、考えるより先に行動するタイプです。それゆえ、兵からの信頼も高いです。
 弟ガルマを溺愛しています。

 四男:ガルマ・ザビ
 大佐にして、地球攻撃軍司令官です。
 父デギンが最も可愛がっていたことから、どうしてもお坊ちゃん体質が抜けません。また、「親の七光り」と言われることを極度に嫌い、戦功を焦る面があります。
 その甘いマスクから、女性からの人気がとても高いです。


 ミノフスキー粒子 【みのふすきーりゅうし】
 宇宙世紀になってから発見された粒子で、発見者のミノフスキー博士の名をとり、名付けられました。
 核融合炉、ビーム砲(メガ粒子砲)などの技術に利用されています。
 また、最大の特徴は、この粒子を一定レベル以上散布したエリアでは、電波などが使用できなくなる点です。これにより、レーダー類の使用、長距離ミサイルなどの無線誘導ができなくなります。
 つまり、今まではレーダーで敵の位置を確認していたのが、肉眼で確認しなくてはならなくなり、必然的に戦闘距離が縮まってしまうことになります。そのため、第二次世界大戦以降主流となっていた電子戦闘は、大きく見直されることとなったのです。


 モビルスーツ 【もびるすーつ】
 ジオン公国が開発した機動兵器です。以下、MSと呼称します。
 簡単に言えば、人の乗り込む人型ロボットです。
 ミノフスキー粒子散布下の戦闘……すなわち肉眼で認識できる範囲内での戦闘で多大な戦果をあげ、宇宙世紀における戦争の主役となります。


 モビルアーマー 【もびるあーまー】
 MSと違い、非人間型の機動兵器です。以下、MAと呼称します。
 大型のものが多く、それゆえ小型化できない強力な武装を搭載することができます。
 ただし、汎用性に欠けるという欠点もあります。


 ノーマルスーツ 【のーまるすーつ】
 パイロットが着る宇宙服のことで、モビルスーツを「人が着る服」と解釈し、モビルスーツと比べて「普通の服」という意味で名付けられました。


 ビームライフル 【びーむらいふる】
 MSが手に持って使う、ビームを発射する銃です。
 ビームを発生させる装置は小型化が難しく、そのために戦艦クラスでないと搭載できませんでした。そのため、早々と開発されたジオンのMSはビームライフルを装備していません(大戦末期のゲルググから装備することになります)。
 MS開発では遅れた連邦軍ですが、ビーム兵器の小型化にはいち早く成功し、MSに搭載させることに成功しました。


 Iフィールド 【あいふぃーるど】
 ビームバリアとも呼ばれる、ビームをはじくバリアです。ミサイルなどの実弾兵器をはじくことはできません。
 Iフィールド発生器は大型なためMSへの搭載は難しく、搭載できるのはMAなどに限定されてしまいます。


 一年戦争 【いちねんせんそう】
 ジオン公国が地球連邦政府に対し、独立を求めた戦争です。
 U.C.0079年1月3日に始まり、U.C.0080年1月1日に終戦を迎えたため、「一年戦争」と呼ばれます。
 一年戦争に関係する作品の第1話は、以下の日付になっています。

 機動戦士ガンダム U.C.0079年9月18日
 機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争 U.C.0079年12月9日
 機動戦士ガンダム 第08MS小隊 U.C.0079年10月6日

 以上のように、開戦後の約8ヶ月間(1月3日〜9月17日)については、作中には登場していません。


 V作戦 【ぶいさくせん】
 大艦巨砲主義で物量に勝る連邦軍に対し、ジオン軍はMSを使用して戦いを有利に進めました。
 そこで、連邦軍がジオン軍に対し反抗するため、新型MSとそれを運用する母艦を開発する作戦を始動します。それがV作戦です。
 この作戦で連邦軍は、ガンタンク、ガンキャノン、ガンダムという3種のMSと、ホワイトベースという母艦を開発します。


 木馬 【もくば】
 ペガサス級強襲揚陸艦ホワイトベースに対し、ホワイトベースの名を知らないジオン軍がそのシルエットから名付けた名前です。
 ホワイトベースはV作戦の中心にあるため、ジオン軍は常にマークをし、精鋭部隊を送りこみました。しかし連邦軍にとっては、敵の目を引きつける囮役でしかありませんでした。


 ニュータイプ 【にゅーたいぷ】
 ガンダム最大のテーマである、宇宙に住むことで認識力が拡大した人々のことです。

 認識力が拡大するとどうなるのか?

 例えば、親しい間柄にある者同士だと、言葉を交わさなくても目を見るだけで相手の考えが分かったりします。これの発展したものだと考えてもらえれば結構です。
 しかし、認識力の拡大により常人よりも直感が鋭いニュータイプは、エスパーのように見られてしまいます。そのため、戦時下においては優秀なパイロットとして駆り出されてしまうという、悲しい運命を辿るのです。


 オールドタイプ 【おーるどたいぷ】
 ニュータイプではない人々のことを、こう呼びます。


 サイコミュ 【さいこみゅ】
 サイココミュニケーターの略で、ニュータイプが発する脳波を電気信号に変える装置です。
 これにより、頭の中で考えたことがそのまま機体の動作に反映されることになります。
 また、「ビット」と呼ばれる無線誘導攻撃端末の制御にも、このサイコミュが使われます。
 この装置の開発が、ニュータイプの軍事利用に拍車を掛けてしまうことになるのです。



 以上で、用語解説の第1回は終了です。


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Last Update 2005.06.01