宇宙移民の始まり |
年 |
事柄 |
0001 |
宇宙移民の開始を以て宇宙世紀に移行。地球総人口90億人突破。 |
0010 |
L5にサイド1、続いてL4にサイド2を建設。 |
0035 |
サイド3建設開始。 |
0040 |
総人口の約40%、宇宙への移民を完了。 |
この時期、地球上に国家は存在しません。地球連邦政府という1つの組織によって統治されています。簡単に言えば、今の国連が政治的権限を持ち、独自の軍隊を保有していると思ってください。
地球上では人口の増加により、人が溢れている状態になっていました。また、それに伴う自然環境の破壊が深刻化していました。そこで、それらを解消するために宇宙に人工の宇宙都市スペース・コロニーを作り、人々を移住させることになりました。
スペース・コロニーは、地球と月との引力が均衡する場所、ラグランジュ・ポイント(以下、Lと表記します)に作られ、人々はそこへ移住していきました。この時の移住は、開拓者といった意味合いが強く、また、地球と似せているとはいえ、異なる環境への移住ですので、貧困者などを中心に行われました。
宇宙世紀0035年の段階では、スペース・コロニーの集合体(=サイド)は2つ出来ており、新たに3つ目のサイドとなるサイド3の建設が始まっています。こうして、宇宙移民の開始から40年間で、総人口の約40%が宇宙への移民を完了したのです。
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エレズム |
年 |
事柄 |
0040 |
総人口の約40%、宇宙への移民を完了。
地球を聖地とみなす「エレズム」思想の発生。 |
0044 |
「エレズム」の思想がスペースノイド一般に定着。 |
0050 |
総人口110億人に。うち90億人が宇宙に移民。 |
0051 |
連邦政府、新規コロニー開発計画の凍結を発表。 |
宇宙移民が進んでいくと、やがて宇宙生まれの子供たちが登場します。この子たちは宇宙で生まれたがゆえに、地球での生活経験がありません。そのため、地球を故郷以上の存在、すなわち聖地と思う考え方が広まっていきます。これが「エレズム」です。
「エレズム」は、地球とは保護すべき聖地であり、人類は全て宇宙に住み、地球を再生すべきだ、という思想です。宇宙移民が地球の自然保護を目的として行われたので、これは当然の思想でしょう。
ただ、当時の状況として、宇宙世紀0051年の段階でサイドは全部で6つ出来ており、総人口の8割近くが宇宙で生活する人々となっていました。そのため、地球上は適度な人口に保たれており、自然環境の破壊も食い止められていました。つまり、宇宙移民当初の目的を達成したことになります。そこで、地球連邦政府は、新規コロニーの開発を凍結します。
そういった状況のため、連邦政府の中には全人類が宇宙に住むべきという考えはなく、むしろ「エレズム」運動の過激さを疎ましく思うようになっていくことになるのです。
スペース・コロニーはサイドを構成し、そのサイドにはそれぞれ自治体があり、それらは地球連邦政府を構成する組織です。ですが、その扱いは植民地と同等のものでした。なぜなら、連邦政府は各サイドに対して、政治的・経済的に優位性を保つためコロニーと対等な交易を行わず、様々な支配と搾取を行ったからです。
そのため、地球に住む特権階級による支配という図式が出来上がっていきます。
また、この頃から宇宙に住む人々をスペースノイドと呼び、地球に住む人々をアースノイドと呼ぶようになります。一般的に、「アースノイド=社会的エリート」という認識があるのは、上記のような理由からです。ですが、地球に住む人々の全てが、連邦政府の中で特権的な地位を有しているわけではありません。また、経済力を豊富に持っているわけでもありません。このことは忘れてはならないのです。
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ジオン共和国 |
年 |
事柄 |
0046 |
ジオン・ズム・ダイクン、コントリズムを提唱。 |
0052 |
ジオン・ズム・ダイクン、サイド3に移住。コントリズムを実践。 |
0058 |
サイド3独立宣言。ジオン共和国樹立。国防隊発足。 |
0059 |
サイド3に対し、連邦政府による経済制裁。 |
0060 |
連邦軍、60年代軍備増強計画発動(後の宇宙軍の統制)。 ルナツー軍事基地化。 |
0062 |
ジオン国防隊、国軍へ昇格。 |
0064 |
連邦軍、軍備増強計画による新型艦を中心に観艦式を挙行。 |
「コントリズム」は、サイド国家主義思想とも呼ばれ、スペースコロニーは連邦政府と対等な自治権を持つべきだ、というものでした。これは、「エレズム」と結びつけられ、多くのスペースノイドの支持を得ることになります。
そして、地球から最も遠い位置にあるサイドであるサイド3に移住したジオン・ダイクンは、「コントリズム」を自ら実践し、連邦政府に対し独立を宣言します。これが、後のジオン公国の母体となるジオン共和国です。初代首相には、ジオン・ダイクン本人が就任しました。
また、共和国樹立と同時に、国防隊も発足されます。これは、ジオン・ダイクンの右腕であったデギン・ザビの主張によるものです。また、デギン・ザビは政治の現実面を動かした男と言われ、ジオン共和国樹立にも多大な貢献をしました。ただ、この時点でジオン・ダイクンは、国防隊はあくまでも自衛のための手段としか考えていなかったようです。
ジオン共和国を作ったジオン・ダイクンですが、連邦政府と戦争をしようという気は全くなく、あくまでも外交交渉により、連邦政府から正式な自治権を獲得しようと模索していました。ところが、連邦政府はこれを認める気はなく、あくまで一部市民による叛乱と定義し、経済制裁をより厳しくしていきます。また、ジオン共和国が武力をもって攻めてくるのを警戒し、その軍備を増強させていきます。そして、それに呼応するかのように、デギン・ザビ主導のもと、ジオン共和国は国防隊を国軍へと昇格させます。
つまり、ジオン・ダイクンは連邦政府との外交交渉の模索だけでなく、武力を前面に出そうとするデギン・ザビとの政治闘争も行わなくてはならなかったのです。
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ジオン公国 |
年月日 |
事柄 |
0067 |
連邦政府、コロニー自治権整備法案を廃案。 |
0068 |
ジオン・ズム・ダイクン、死亡。次期首相にデギン・ソド・ザビ。
ジオン・ズム・ダイクンの死亡を巡り、ザビ家による謀殺説を主張する一派、報復テロ。以後、数年間、サイド3で政争(ザビ家の次男サスロ・ザビの死亡は親ジオン・ズム・ダイクン派によるテロともいわれる)。 |
0068.08.15 |
ジオン公国宣言。デギン・ソド・ザビ、公王に就任。
親ジオン・ズム・ダイクン派、公国中枢より排除される。ザビ家による独裁の確立。 |
ジオン・ダイクンが模索していた外交交渉による自治権の獲得ですが、宇宙世紀0067年に連邦政府がコロニー自治権整備法案を廃案したことにより、挫折を余儀なくされてしまいます。すなわち、法案が廃案されたことによって、建前だけの自治権獲得すら認められなくなったからです。
そんな中、ジオン・ダイクンのやり方を生ぬるいと感じていた、デギン・ザビを中心とする一派は、一気に行動を開始します。それは、ジオン・ダイクンの暗殺です。そして、暗殺に成功したデギンを中心とする一派は、デギン・ザビを次期首相の座に据えます。
翌年、デギン・ザビはジオン共和国をジオン公国へと変え、自ら公王の座につきます。そしてジオン・ダイクン派を一掃し、自らの派閥、すなわちザビ家一党による独裁政治を開始するのです。これは、外交交渉中心であった活動が、武力交渉中心になっていくことを意味しており、ジオン公国は連邦政府に対し、独立戦争を仕掛ける準備に入っていくのです。
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ミノフスキー粒子 |
年 |
月 |
事柄 |
0045 |
ミノフスキー物理学会設立。 |
0047 |
ミノフスキー物理学会を元にM&Y(ミノフスキー&イヨネスコ)公社設立。ミノフスキー・イヨネスコ型熱核反応炉の開発開始。 |
0065 |
ミノフスキー物理学会、熱核反応炉内における特殊電磁波効果発見。追試の結果は非公開。 |
0069 |
ミノフスキー粒子の存在、実証される。 |
0070 |
03 |
ジオン公国、ミノフスキー効果の公開確証実験に成功。 |
05 |
公国軍、メガ粒子砲を完成。 |
0071 |
公国軍、ミノフスキー粒子散布下における新兵器の開発に着手。 小型熱核反応炉完成。 |
宇宙世紀における物理学最大の事件は、ミノフスキー物理学の成立です。
ミノフスキー物理学とは、トレノフ・ミノフスキーによって提唱された新粒子(後にミノフスキー粒子と呼ばれる)の物理学と、その応用技術全般を指します。
これは、アインシュタインの統一性理論をさらに完成させたものなのですが、時代の流れに逆行するものとして、学会からミノフスキーは追放されてしまいます。そのため、ミノフスキーは、宇宙世紀0045年にサイド3にミノフスキー物理学会を設立するのです。
ミノフスキーは、この物理学技術の応用として、新型熱核反応炉の開発が可能である、との見解を示しました。この熱核反応炉は、従来のものよりも遥かに小型で、なおかつ高出力である、と主張していました。
ちょうどその頃、連邦政府に対し戦争をしかけるため、新兵器の開発に着手していたジオン公国は、ミノフスキーを援助し、新型熱核反応炉の開発を成功させます。
また、その過程の中でミノフスキー粒子の存在も実証され、さらにミノフスキー粒子の特異な力(ミノフスキー粒子には電磁波を妨害する性質があるため、ミノフスキー粒子散布下では、あらゆるレーダーや、誘導ミサイルなどの兵器が使用不可となる)を確認します。そこで、新兵器はミノフスキー粒子の使用を前提として開発されることとなり、また、ミノフスキー効果の一つである、従来のビーム砲より強力な「メガ粒子砲」をも完成させるのです。
なお、ミノフスキーが学会から追放され、サイド3へ移住したという経緯から、ミノフスキー物理学に関しては、ジオン公国が地球連邦政府よりも優位に立つことになりました。
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開戦準備 |
年 |
月 |
事柄 |
0069 |
10 |
公国軍、パプア級の1番艦就役。 |
0070 |
06 |
公国軍、チベ級高速重巡洋艦の1番艦就役。 |
09 |
連邦軍、70年代軍備増強計画のもと、サラミス級、マゼラン級の新型宇宙艦艇を就役。 |
12 |
サイド7建設のため、ルナツーを月の反対側の軌道へ移動。 |
0071 |
ギレン・ザビ、「優性人類生存説」を発表。 |
連邦軍、高々度戦闘機セイバーフィッシュ、完成。空軍の反対によって宇宙軍へ宇宙戦闘機として配備。 |
0072 |
ジオン公国、小惑星基地アクシズを建設開始。 |
0073 |
公国軍、新型兵器1号機完成。モビルスーツ(MS)と呼称。 |
0074 |
02 |
公国軍、ミノフスキー・イヨネスコ型熱核反応炉搭載の試作型MS-05をロールアウト。 |
04 |
公国軍、パプア級改装補給艦の1番艦就役。 |
0075 |
07 |
公国軍、ムサイ級軽巡洋艦の1番艦就役。MS-05量産決定。 |
08 |
公国軍、MS-05ザクの実戦型、ロールアウト。 |
11 |
公国軍、教導機動大隊編制。 |
0076 |
03 |
公国軍、グワジン級大型戦艦の1番艦就役。 |
04 |
公国軍、MSの生産拠点を拡大。 |
05 |
公国軍、極秘裏に教導機動大隊による演習開始。 |
06 |
公国軍、ザンジバル級機動巡洋艦の1番艦就役。 |
12 |
公国軍、地球侵攻作戦を前提とした局地戦用MSの開発に着手。 |
0077 |
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連邦軍、0077年度戦力整備計画の一環において宇宙艦艇建造を主眼とするSCV-X計画を、複数の開発計画と同時進行させるプロジェクトとして始動。開放型宇宙空母の建造計画であるSCV-27計画が採用される。 |
08 |
公国軍、MS-06Aザクの試作機、ロールアウト。 |
09 |
公国軍、MS-06Cザクの先行量産開始。 |
0078 |
01 |
公国軍、MS-06Cザクの量産開始。 |
03 |
連邦軍、極秘裏にMSの開発開始。複数のプロジェクトが同時に進行するRX計画発動。 |
04 |
連邦軍、各コロニーの駐留部隊を増強。 |
05 |
サイド7第1号コロニー、未完成ながら移民開始。 |
06 |
公国軍、チベ級ティベ型高速重巡洋艦の開発開始。 |
10 |
公国、国家総動員令発令。国軍を分割し、宇宙攻撃軍、および突撃機動軍設立。 |
11 |
連邦軍、観艦式を挙行。 |
12 |
公国軍、ドロス級大型輸送空母を極秘裏に開発開始。MS-06Fを生産の主力へ移行。生産施設の80%で同機が生産される。 |
宇宙世紀0070年代前半は、連邦軍、公国軍共に、新兵器の開発に専念した時期でした。
ジオン公国軍は、ミノフスキー粒子散布下、すなわちレーダー類の使えない状況での戦闘用兵器、モビルスーツの開発を行います。また、生産する艦船も、全てモビルスーツの運用を前提としており、モビルスーツ搭載能力がつけられていました。
一方、連邦軍も極秘に公国軍の新兵器、モビルスーツの存在を確認しており、モビルスーツの開発計画である「RX計画」を発動させます。しかし、モビルスーツの有効性については疑問視する意見が多く、重要視はされていませんでした。
すなわち、モビルスーツ重視の公国軍と、戦艦重視の連邦軍という図式が出来上がるわけです。
また、連邦軍はミノフスキー粒子の存在も知っていましたが、こちらも重要視していませんでした。というのも、ミノフスキー粒子を散布すると、相手はおろか自分たちもレーダー類を使えなくなってしまうからです。ですので、ジオン軍がミノフスキー粒子を散布などしないだろう、という風に思っていたわけです。これも、モビルスーツを軽視していたがゆえの考え方です。
また、宇宙世紀0071年にジオン公国総帥ギレン・ザビが発表した「優性人類生存説」は、「エレズム」「コントリズム」をさらに極端化したものでした。これは、「優良な人類、すなわちジオン公国国民のみが生き残るべきであり、地球圏はジオン公国国民によって管理運営されるべきである」というものです。
アースノイドのみならず、ジオン公国国民以外のスペースノイドをも排除する思想ですが、これには理由があります。ジオン公国は、この以前から移民希望者を受け入れていました。つまり、移民を希望しない者は、スペースノイドであっても我々と思想が異なる。ゆえに排除対象となる、というわけです。
この思想は、ジオン公国の今後の方針に大きく影響していきます。
なお、ギレン・ザビは、デギン・ソド・ザビ公王の長男であり、この時点での実質的なジオン公国の指導者です。その卓越された政治力、冷静な判断力、圧倒的なカリスマは、他の追随を許さぬほどでした。
こうして、モビルスーツおよび艦船の生産が整ったジオン公国軍は、ついに開戦に踏み切ることとなるのです。
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